膝関節周囲疾患の専門的加療
神戸大学卒業後、神戸大学大学院にて整形外科領域の研鑽を積み、さらにアメリカ・ピッツバーグ大学では2年間にわたり医学留学を行い、膝関節治療に関する研究と臨床的な知見を深めてまいりました。帰国後は病院勤務医として、主に下肢の関節外科を専門に、膝や股関節などの痛み・機能障害に悩まれる患者さまの診療に従事してまいりました。
関節の痛みは、昔から非常に多くの方を悩ませてきた症状のひとつです。なかでも膝関節は、日常生活において体重を支え、歩く・立つ・座る・階段を昇り降りするといった基本的な動作に深く関わるため、痛みや違和感が生じると生活の質に大きな影響を及ぼします。膝関節内のクッションの役割を果たす軟骨が傷んでいる日本人は1000万~3000万人にのぼるともいわれており、非常に身近で重要な健康課題です。
また、関節痛は単なる「痛み」にとどまらず、活動量の低下や筋力低下を招き、やがては外出の機会が減る、転倒しやすくなる、介護が必要になるといった悪循環につながることがあります。実際に、関節の障害は健康寿命を縮める大きな要因のひとつであり、介護が必要となる原因の約10%を占めるともいわれています。関節痛を放置することは、生活レベルの著しい低下につながるため、早めに適切な診断と治療を受けることが大切です。
関節疾患に対する治療は、患者さまの年齢や生活背景、症状の程度、病態に応じてさまざまです。保存的治療としては、内服薬や外用薬、関節注射、リハビリテーションなどがあり、症状の改善や進行予防を目指します。一方で、状態によっては関節鏡手術、骨切り術、人工関節置換術などの手術治療が必要となることもあります。近年では、これらに加えて「第3の治療」として再生医療にも大きな注目が集まっており、将来の治療の選択肢として期待されています。当院でも、必要な認可申請を行ったうえで、再生医療の提供を進めていく予定です。
さらに、膝の問題は加齢による軟骨のすり減りだけではありません。半月板損傷や靱帯損傷は、若い世代やスポーツに取り組む方にも多くみられ、競技復帰やパフォーマンス向上を目指すうえでは、適切な診断と専門的なリハビリテーションが極めて重要です。単に痛みを取るだけでなく、関節の動きや筋力、バランス、身体の使い方まで総合的に評価し、一人ひとりに合わせた治療とリハビリを行うことで、より高いレベルでのスポーツ復帰を目指すことが可能になります。
私は、関節疾患の治療において大切なのは、適切な医学的治療だけでなく、患者さまご自身が前向きな気持ちで治療に取り組めることだと考えています。どれほど優れた治療法であっても、その内容に納得できず、不安を抱えたままでは十分な効果につながりにくいことがあります。そのため当院では、現在の状態や治療の選択肢、それぞれのメリット・デメリットを丁寧にご説明し、患者さまに十分ご理解・ご納得いただいたうえで治療を進めることを大切にしています。
患者さまお一人おひとりの生活背景や目標は異なります。「痛みなく歩けるようになりたい」「旅行を楽しみたい」「趣味や仕事を続けたい」「スポーツに復帰したい」など、それぞれの思いに寄り添いながら、その方にとって最善の治療をご提案したいと考えております。適切な治療に加え、患者さま自身の気力と体力を最大限に引き出せるよう、信頼関係を大切にした診療を心がけてまいります。
関節の痛みや違和感は、年齢のせいだからとあきらめてしまわれることも少なくありません。しかし、早期に適切な対応を行うことで、症状の改善や進行予防が期待できるケースは多くあります。膝や股関節などの関節痛、スポーツによるけが、歩行の不安、治療方法に関するお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。皆さまがより快適に、いきいきと日常生活を送れるよう、専門的な立場からしっかりとサポートしてまいります。
