手根管症候群
「最近、朝起きると手がしびれて、手を振ると少し楽になる」といった症状にお悩みではありませんか。それは「手根管症候群」という、手首にある神経の通り道が狭くなることで起こる病気かもしれません。芦屋市海洋町にある、ささき整形外科リハビリクリニックでは、手のしびれや痛みに不安を感じておられる患者さんの声を大切にしています。私たちは、神戸大学附属病院や神戸労災病院などでの20年以上にわたる臨床経験に基づき、日本整形外科学会専門医の視点から一人ひとりに合った適切な診断と治療を提案いたします。特に、手のしびれは首の病気と間違われることも多いため、正確な評価が欠かせません。
手根管症候群の症状について
手根管症候群の大きな特徴は、親指から薬指の半分にかけて生じるしびれや痛みです。小指にはしびれが出ないことがこの疾患を見分ける重要なポイントとなります。初期の頃は、人差し指や中指のしびれから始まることが多く、徐々に親指や薬指へと広がっていきます。
多くの患者さんが訴えられるのが「夜間や明け方のしびれの増悪」です。寝ている間に手首が曲がった状態が続くことで、神経への圧迫が強まり、しびれで目が覚めてしまうこともあります。手を振ったり、指を動かしたりすると一時的に楽になるのも、この病気の典型的な症状といえます。
病状が進行してくると、感覚の異常だけでなく運動の障害も現れます。親指の付け根にある盛り上がった筋肉(母指球筋)が痩せて平らになり、親指と人差し指できれいな丸印を作る「OKサイン」ができなくなることがあります。これにより、細かい作業がしにくくなり、以下のような日常生活の困りごとが増えていきます。
- 縫い物などの針仕事が難しくなる
- ボタンのかけ外しに時間がかかる
- 小銭をつまみ上げにくくなる
- お箸をうまく使えなくなる
さらに重症化すると、母指球の筋肉が著しく萎縮し、親指が他の指と向かい合う動きができなくなる「猿手」と呼ばれる状態になることもあります。そこまで進行してしまうと、神経の回復にはかなりの時間を要するため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
手根管症候群の原因について
手首の手のひら側には、骨と横手根靭帯という硬い膜に囲まれた「手根管」と呼ばれるトンネル状の管があります。このトンネルの中には、指を動かす9本の腱と、手の感覚や親指の動きを司る正中神経が通っています。何らかの理由でこのトンネル内が狭くなったり、圧力が上がったりすると、正中神経が圧迫されて症状が出現します。
原因は多岐にわたりますが、臨床でよく見られるのは「手の使いすぎ」です。仕事や家事、スポーツなどで手首や指を頻繁に使う方は、腱を包んでいる膜(滑膜)が腫れてしまい、結果として正中神経を圧迫しやすくなります。
また、女性に多いことも大きな特徴の一つです。特に妊娠・出産期や閉経前後など、女性ホルモンのバランスが大きく変化する時期に発症しやすい傾向があります。これは、ホルモンバランスの変化によって体内の水分量が増え、手根管内でむくみが生じやすいためと考えられています。
そのほか、以下のような要因が関係している場合もあります。
- 手首の骨折などの外傷による変形
- 透析を受けていることによるアミロイドの沈着
- 糖尿病やリウマチなどの持病に起因する腫れ
- ガングリオン(ゼリー状の物質が溜まった袋)による圧迫
多くの場合、明確な原因が特定できない「特発性」と呼ばれるものですが、当院では患者さんの生活背景や既往歴を詳しく伺い、原因の推測と対策を一緒に考えていきます。
手根管症候群の病気の種類について
手根管症候群は、原因や背景によっていくつかに分類されます。
特発性手根管症候群
最も頻度が高いもので、はっきりとした特定の原因が見つからないタイプです。中高年の女性に多く見られ、加齢による組織の変性や、日常的な手の酷使が積み重なって発症すると考えられています。左右両方の手に症状が出ることが多いのも特徴です。
続発性手根管症候群
他の疾患や明らかな原因に伴って起こるタイプです。例えば、手首の橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)の後に神経が圧迫されるケースや、関節リウマチによる滑膜炎、糖尿病による神経の脆さなどが関与します。また、長期の血液透析を受けている方では、アミロイドというタンパク質が手根管に沈着して神経を圧迫することがあります。
急性手根管症候群
外傷や重度の感染、急激な出血などによって、短時間のうちに手根管内の圧力が急上昇して起こる稀なケースです。この場合は、神経へのダメージを最小限にするために、緊急での処置が必要になることがあります。
手根管症候群の治療法について
当院では、患者さんの症状の重さや日常生活での困り具合に合わせて、保存療法から先進的な治療まで幅広い選択肢を用意しています。
保存療法(手術以外の治療)
症状が比較的軽い場合や、発症して間もない場合は、まず手を休めることが基本です。
- 装具療法(スプリント)・・手首を安静に保つための装具を夜間に装着し、神経への負担を減らします。
- 薬物療法・・神経の修復を助けるビタミンB12製剤や、炎症を抑えるお薬を処方します。
- 手根管内注射・・トンネル内にステロイド薬を注射し、直接的に炎症や腫れを抑えます。これにより劇的に症状が改善することも少なくありません。
理学療法士によるリハビリテーション
ささき整形外科リハビリクリニックの強みは、経験豊富な理学療法士によるマンツーマンのリハビリです。手首の柔軟性を高めるストレッチや、神経の滑走性を促す「神経グライディングエクササイズ」を指導します。また、日常の動作を見直し、手首への負担を減らすコツをお伝えすることで、再発防止を目指します。
手術療法
筋肉の萎縮が進んでいる場合や、保存療法を続けてもしびれが改善しない場合には、手術を検討します。神経を圧迫している横手根靭帯を切開してトンネルを広げる「手根管開放術」が行われます。当院で手術が必要と判断した場合は、適切な高度医療機関をご紹介し、術後のリハビリは再び当院でしっかりとサポートさせていただきます。
料金について
当院の診療は原則として健康保険が適用されます。初診料、再診料、検査費用(レントゲン等)、お薬代、リハビリテーション費用などが含まれます。
| 治療内容 | 負担割合 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 初診・診察・レントゲン検査 | 3割負担 | 約3,000円 - 4,500円 |
| リハビリテーション(1単位) | 3割負担 | 約600円 - 1,200円 |
※お薬の処方がある場合は別途薬局での費用がかかります。また、検査内容によって金額は前後いたしますのでご了承ください。
手根管症候群についてのよくある質問
Q1. 片手だけでなく両手がしびれるのですが、それでも手根管症候群ですか?
A1. はい、手根管症候群は両手に症状が出ることが非常に多い病気です。特に特発性の場合は、利き手から始まり、遅れて反対側の手もしびれてくるパターンがよく見られます。首の病気との判別が必要ですので、一度受診をお勧めします。
Q2. 手術をしないと治りませんか?
A2. 全ての患者さんが手術を必要とするわけではありません。初期であれば安静やリハビリ、注射などの保存療法で十分に改善する可能性があります。ただし、親指の付け根の筋肉が痩せてきている場合は、早めの処置が望ましいため注意が必要です。
Q3. 手のしびれ以外に痛みもありますが、関係ありますか?
A3. 手根管症候群では、しびれだけでなく、手首から指先にかけて強い痛みを感じることがあります。特に夜間に痛みが強くなるのが特徴的です。また、しびれをかばって他の場所(肘や肩)に負担がかかり、痛みが出ることもあります。
院長より
手のしびれは、日常生活の質に直結する深刻な悩みです。「ただの疲れだろう」と放置してしまい、箸が持てなくなったり、ボタンが留められなくなったりしてから来院される方も少なくありません。私はこれまで、神戸大学医学部を卒業後、20年以上にわたって整形外科の最前線で多くの患者さんと向き合ってきました。
ささき整形外科リハビリクリニックでは、単にしびれを抑えるだけでなく、なぜその症状が出たのかという根本的な原因を追求し、理学療法士とともに機能回復を目指します。
「最近、指先がピリピリする」「物を落としやすくなった」といった小さな違和感でも構いません。当院へ、どうぞ安心してお越しください。あなたの手が、再び軽やかに動く喜びを取り戻せるよう、私たちが誠実にお手伝いいたします。
