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変形性肘関節症

変形性肘関節症とは、肘の関節を保護している軟骨が長い年月の間にすり減ったり、骨の縁に「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲのような骨の突起ができたりすることで、肘の痛みや動きの制限が生じる病気です。初期の頃は、重い物を持った時や肘を動かし始めた時にだけ痛みを感じることが多いため、「年齢のせいかな」と見過ごされてしまうことも少なくありません。しかし、進行すると肘を完全に伸ばせなくなったり、顔を洗う、食事をするといった日常の何気ない動作に支障をきたしたりするようになります。芦屋市海洋町にあるささき整形外科リハビリクリニックでは、これまでに20年以上の臨床経験を積んできた整形外科専門医が、患者さん一人ひとりの肘の状態を詳細に評価します。肘の違和感や「昔の怪我が痛んできた」といったお悩みがあれば、どんなに些細なことでもお気軽にご相談ください。

変形性肘関節症の症状について

変形性肘関節症の症状は、段階を経て徐々に進行していくのが特徴です。初期段階では、日常生活で肘を酷使した後に重だるい痛みを感じる程度ですが、進行するにつれて「肘が動かせる範囲」が狭まっていきます。

代表的な症状の一つに「可動域制限(かどういきせいげん)」があります。これは肘が完全に伸びきらなくなったり、逆に深く曲げられなくなったりする状態です。これを「肘の拘縮(こうしゅく)」と呼びます。例えば、顔を洗う時に手が顔に届きにくくなったり、携帯電話を耳に当てにくくなったり、あるいはシャツの袖を通す時に肘が突っかかるといった具体的な不便さが現れます。また、肘の曲げ伸ばしの終わりに「カチッ」と骨がぶつかるような衝撃や痛みを感じることもあります。

さらに症状が進むと、関節の中に剥がれ落ちた軟骨や骨の欠片が入り込む「関節ねずみ(関節遊離体)」という状態になることがあります。この欠片が関節の隙間に挟まると、突然肘が動かなくなる「ロッキング」という現象が起き、激痛を伴うこともあります。

また、肘の内側を通る「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」が、変形した骨によって圧迫されることも珍しくありません。これにより、薬指の半分や小指に痺れが生じたり、手の握力が低下したりする「肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)」を併発することもあります。指先の細かい作業がしづらくなったと感じる場合は、肘の変形が神経に影響を及ぼしている可能性が考えられます。

当院では、このような多岐にわたる症状を丁寧に聞き取り、日常生活での困りごとを解消するための治療計画を提案します。肘の痛みだけでなく、手の痺れや動きの悪さを感じた際は、早めに受診していただくことが大切です。

変形性肘関節症の原因について

変形性肘関節症の原因は、大きく分けて「一次性」と「二次性」の2つのパターンに分類されます。これらはいずれも、肘関節に過度な負担が長期間かかり続けることで引き起こされます。

一次性の原因は、主に加齢や長年の労働による「使いすぎ(オーバーユース)」です。重い荷物を運ぶ仕事や、腕を激しく使う職種に従事してきた方に多く見られます。長年の負荷によって少しずつ軟骨が摩耗し、骨同士が直接こすれ合うようになることで変形が始まります。

二次性の原因は、過去に経験した怪我や病気がきっかけとなるものです。特に多いのが、若い頃に野球などのスポーツで肘を痛めた経験(野球肘など)や、肘の骨折、脱臼といった外傷の既往です。怪我によって関節の表面が不整になったり、関節の並び(アライメント)がわずかにずれたりすると、その後の数十年間の日常生活の中で特定の部位に負担が集中し、変形が進行しやすくなります。

また、スポーツ選手、特に投擲競技(とうてききょうぎ)やテニス、柔道などの選手においても、繰り返される強い衝撃が原因で早期に変形が始まることがあります。

原因を特定することは、今後の進行を防ぐために非常に重要です。当院では全身型の骨密度測定器なども活用し、骨全体の健康状態を把握しながら、なぜ肘に負担がかかっているのかを、患者さんの過去の活動歴を含めて探っていきます。

変形性肘関節症の病気の種類について

変形性肘関節症は、その原因や進行の度合いによって、いくつかの状態に分けて考えられます。医学的には、原因が特定できない一次性のものと、外傷などに起因する二次性のものに大別されますが、臨床現場ではその進行度(ステージ)が治療方針の決定に重要となります。

まず初期段階では、関節の隙間(関節裂隙)がわずかに狭くなり始める時期です。レントゲン検査では明らかな異常が見えにくいこともありますが、MRI検査などを用いると軟骨の傷みが確認できる場合があります。この時期は「動かした時の違和感」が主な主訴となります。

次に進行期になると、レントゲンでも骨棘(骨のトゲ)がはっきりと確認できるようになります。骨棘が大きくなると、それがストッパーのような役割をしてしまい、肘が物理的に曲がらなくなったり伸びなくなったりします。また、先述した「関節ねずみ(遊離体)」が形成され始めるのもこの時期です。

末期段階では、関節の隙間がほとんど消失し、骨と骨が直接接触している状態になります。関節の変形は著しくなり、外見からも肘が腫れているように見えたり、曲がったまま固まったりしてしまいます。こうなると、強い痛みが持続するだけでなく、神経症状を伴うリスクも高まります。

また、リウマチなどの炎症性疾患に伴って肘の変形が進むケースもあります。当院では日本整形外科学会認定のリウマチ医としての視点も持ち合わせているため、単なる加齢による変形なのか、あるいは炎症性の病気が隠れていないかを慎重に判断いたします。それぞれの病態に合わせた適切なアプローチを選択することが、早期の機能回復への近道となります。

変形性肘関節症の治療法について

ささき整形外科リハビリクリニックでは、患者さんの年齢、職業、スポーツの有無、そして何より「どうなりたいか」という希望に寄り添い、段階的な治療を行っています。私たちは、いきなり手術を検討するのではなく、まずは保存的治療(手術以外の方法)を徹底することに重きを置いています。

基本的な治療としては、炎症を抑えるための内服薬の処方や、関節を保護するためのサポーターの装着、ヒアルロン酸の関節内注入などがあります。これらの処置により、痛みや腫れを緩和させることが可能です。

当院の大きな特徴の一つは、リハビリテーションによる運動療法です。理学療法士がマンツーマンで、肘周りの筋肉の柔軟性を高めたり、関節の可動域を広げたりするための専門的なトレーニングを行います。肘そのものだけでなく、肩関節や手首の動きも改善させることで、肘への負担を分散させるトータルなアプローチを重視しています。

どうしても保存的治療では日常生活に大きな支障がある場合には、関節鏡を用いた骨棘の切除や、遊離体の除去、あるいは人工肘関節置換術といった手術が必要になることもあります。その際は、長年の病院勤務で培ったネットワークを活かし、適切な高度医療機関をご紹介させていただきます。術後のリハビリテーションについては、再び当院で継続して受けていただける体制を整えています。

料金について

変形性肘関節症の診療に関わる費用の目安です。保険診療の場合、自己負担割合(1割-3割)によって異なります。

項目 内容 費用の目安(3割負担時)
初診料・再診料 診察、診断にかかる基本費用 約850円 - 1,200円程度
レントゲン検査 骨の変形や隙間の状態を確認 約1,000円 - 2,000円程度
リハビリテーション 理学療法士による運動機能改善(20分) 約600円 - 1,800円程度
関節内注射 ヒアルロン酸注入など(薬剤費込) 約700円 - 1,500円程度

※お薬が処方される場合は、別途調剤薬局での費用がかかります。また、検査内容や処置の内容によって金額は前後いたしますので、あらかじめご了承ください。

変形性肘関節症についてのよくある質問

Q1. 肘が伸びないのですが、マッサージで治りますか?

A1. 肘が伸びない原因が、筋肉の強張り(こわばり)であればマッサージで緩和することもありますが、変形性肘関節症による骨棘(骨のトゲ)が原因の場合は、マッサージだけで可動域を完全に戻すことは困難です。無理に伸ばそうとすると関節を痛める原因にもなるため、まずはレントゲン等で「なぜ伸びないのか」を確認し、理学療法士による適切なリハビリを受けることをお勧めします。

Q2. 昔野球をしていたことが、今の肘の痛みに関係ありますか?

A2. はい、大きく関係していると考えられます。学生時代の投球動作などで肘に繰り返しかかった負担が、数十年を経て変形として現れることは非常に多いです。これを二次性の変形性肘関節症と呼びます。当時の怪我がいわば「火種」となり、年齢とともに進行した形ですので、専門的な評価が必要です。

Q3. 手術をしないと痛みは取れないのでしょうか?

A3. 多くの患者さんは、手術を行わずに痛みをコントロールできています。薬物療法、サポーター、そして何より専門的なリハビリテーションを継続することで、炎症を抑え、日常生活に支障のないレベルまで回復することが可能です。

Q4. 湿布を貼っていれば治りますか?

A4. 湿布は一時的に炎症や痛みを抑える効果はありますが、関節の変形そのものを治したり、狭まった可動域を広げたりする効果はありません。症状を根本から見直すには、なぜ痛みが出ているのかという構造的な問題を把握し、リハビリなどで肘の動かし方を改善していく必要があります。

Q5. 仕事を続けながら治療できますか?

A5. はい、もちろんです。お仕事の内容に合わせて、肘への負担を減らす体の使い方をアドバイスしたり、必要に応じてサポーターを活用したりしながら治療を進めていきます。リハビリも患者さんのライフスタイルに合わせて通いやすい計画を立てますので、ご安心ください。

院長より

肘の痛みや動きにくさは、「年だから仕方ない」「昔の怪我だから」と諦めてしまいがちな症状です。しかし、肘は「手」を口や顔、あるいは必要な場所に運ぶための極めて重要なクレーンの役割を果たしています。この肘が思うように動かなくなることは、食事や着替え、洗顔といった毎日の基本動作に大きなストレスを与えます。私はこれまで、神戸大学や関連病院、そしてアメリカでの研究を通じて、多くの関節疾患やスポーツ傷害と向き合ってきました。その20年以上の経験の中で確信しているのは、適切なタイミングで適切な治療を行えば、たとえ変形が進んでいても、痛みを和らげ機能を回復させる道は必ずあるということです。

「注射だけして終わり」といった治療ではなく、なぜ痛むのかを一緒に考え、根本的な改善を目指すのが私たちのスタイルです。ささき整形外科リハビリクリニックは、地域の皆様がいつまでも健康で、スポーツや趣味を全力で楽しめるよう、全力でサポートいたします。肘の違和感があれば、我慢せずにお気軽に相談にいらしてください。あなたの健やかな毎日を、私たちと一緒に取り戻しましょう。

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